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幼少♀スザ×♀ルルです。
いわゆる百合ですね。
そういったものに嫌悪を持たれる方は、すみませんが閲覧は控えて下さいませ。

続きというか、百合は好きなので百合設定はまた書きます。
同士がいてくれることを祈りつつ…!

+ + + + + + + + + +





<プランパーゴの涙に約束>





心奪われたあの青さを、ねえ、あなたは覚えている?

























涼しくなってきた風が、火照った私の体を心地よく冷やした。

「…見つけた」

安堵の息が、思わずほっと漏れる。
探していた少女は、ルリマツリが溢れ咲く茂みで膝を抱えてしゃくりあげていた。

「スザク、迎えに来たよ。一緒に戻ろう?」

顔をあげたスザクの頬は、涙でぐちゃぐちゃだった。
翡翠色の瞳に私だけを映すと、新しい大粒の涙がこぼれ落ちる。
「帰りたく、な、いっ…!」
私は膝をついて、スザクの背中を撫でてやる。
「泣かないで。あなたが泣くと私もすごく悲しいわ」
「…だっ、て」
「ん?」
せわしなく息を継ぐ背を、落ち着かせるように優しく叩く。
走ったて来たせいで乱れた横髪を耳に掛けて、舌っ足らずに紡がれる彼女の言葉を逃すまいと耳を傾ける。
「僕、…僕は要らない子だから。僕がいたら父さんが怒、る」
「そんなことない」
「だって、僕が女だから…!や、役に立たないって!!僕なんて、いない方が良い…っ」
スザクが握ったワンピースの袖が、くしゃりと皺になる。
彼女が顔を押し付けたブラウスは瞬く間に濡れてしまったが、ことさら強くスザクの頭を抱き寄せた。
スザクのふわふわした髪をすきながら、けれど私はスザクの言葉がそう間違っていないことを知っていた。

スザクの父親は、話に聞いていた日本の男性らしい、男尊女卑の激しい男だった。
跡取りに男子がいないことを忌々しく思っているのだと、普段から憚ることなく口にしている。
私が何より悲しいのは、スザクはそんな父親であっても誰よりも尊敬していることだ。

だから彼女は髪を短く切り揃え、決してスカートを穿かず、自分のことを「私」と呼ぶこともない。
なれるはずもない男の子に、スザクはなろうとしているのだ。

馬鹿な子、と私は胸の内で吐き捨てる。


(あなたを大切にしない愚かなものなんて、すべて忘れてしまえば良いのに)


「…役立たずなんかじゃない。スザクは男の子に負けないくらい強いもの。それにどんな女の子より可愛いわ」
「ルルーシュ…っ」
柔い頬を伝う雫を、そっと唇で拭う。泣きすぎたせいか、そこはひどく熱かった。
「私がスザクを必要としてあげる。ずっとずっと、側にいるから。私があなたを守ってあげるわ。…お願い、だから自分を要らないなんて言わないで」
スザクを安心させたくて言ったのに、何故だか私まで泣きたくなってしまう。
つられてスザクまで泣いてしまったら本末転倒でしかないのに。
しかしスザクはごしごしと目元を擦り、精一杯笑って見せてくれた。

「ルルーシュ、僕、もっと強くなるよ。強くなって、僕がルルのこと守るから。…ずっと側にいてね」

縋るように私を抱きしめる。
私もきつくきつく抱き返す。
そして「約束だよ」と私たちは何度も何度も囁き合った。



ルリマツリの花びらが、泥にまみれた私のスカートに、はらりと散った。

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